2.釣り
サラリーマンというのは
いかに効率よく動くかという仕事だ。
物を作るにも
同じ人数でたくさん作れると利益が出る。
営業も1000万円で売れても原価が950万円より
30万円のものを100万円で売る方が利益も効率もいい。
そんな会社で効率よく動くために絶えず頭を回して狭い机で忙しなく指を動かす。
こんな仕事をしている人も多いだろう。
ぼくもそんな会社の歯車として生きているけれども、たまの休日くらいは効率厨に仮面を脱ぎ捨てたい。
無駄なことをしたい。ボーっとしたい。日差しを浴びたい。帰りたい。無駄なことを考えたい。
そんな飢餓感に近い欲望がたま〜に顔を出す。
特に今日みたいな静かな木曜日とかに
そういうときは決まってある友達にラインを送る。
「次釣りいつ行くよ?週末どっちか暇?」
『土曜日は休日出勤だから日曜なら行ける』
こいついつも休日出勤してんなと思いながら、了承するスタンプを送る。
これで準備は完了だ。
釣りに行けるワクワク感で仕事をなんとか乗り越える。
やまない雨や明けない夜と同じように終わらない平日などないのだから。
釣りが趣味と言っても近くの川に行って小魚で遊ぶ程度のレベル。
黄色いアロハシャツを着て、七分丈のズボンと変な日焼け跡ができる草履を履き、延べ竿を携え川に向かう。
川に着いたらまずお気に入りのアウトドア用椅子「コールマンのレイチェア」を広げて背もたれを倒し座ってタバコを1本。
自然の中で吸うタバコは身体にいい気さえしてくる。
※レイチェアに関しては今度また記事にすることにする。マジでいいぞこの椅子は
釣りというのは案外せっかちな方が上手になるとどこかで読んだことがある。
釣れるポイントや、釣り方をこまめに変えて意欲的に魚を狙っていくかららしい。
わからないでもないが、ぼくは1回釣竿を垂らしたらそこからほとんど動かない。
全く釣れなくても3〜4時間釣り糸を垂らしている。
魚が釣れても小さいし美味しくないから最近はリリースをしている。
「何もしなくても良いんだ。あぁ、なんて贅沢なんだろう」
2本目のタバコに火をつけツイッターのネタツイートを考えたりする。
ボーッとしたり、釣った魚の様子を伺ったり、野良猫に話しかけたり、太公望のマネをしてエサをつけずに釣り糸を垂らしたりしてみる。
釣れなくてもいいのよ。ボーッとする口実が欲しいんだから。
竿も持たずに川べりでボーッとしてたら、不審者か自殺直前の人になってしまうからね。
貴重な休日をめちゃくちゃ無駄に過ごす。
「何もしないをする」「貴重なものを敢えて雑に使う」
なんと贅沢な時間の使い方なんだろう。
そしてまた次の日からいつもの平日が始まる。
パソコンを打ちながらこんなことを思う。
「次の川べりでぼーっとしようか」
そんな期待があるだけで5日間仕事に打ち込むことができたりする。
趣味って大事。
そんなお話。